『音声研究』第30巻 研究論文、研究ノート募集

2025年3月10日
 2026年12月J-STAGE公開の第30巻『音声研究』(冊子版2026年12月発行)に予定している特集の研究論文・研究ノートを募集します。是非ご投稿ください。なお,特集に投稿された研究論文・研究ノートは,査読により修正が必要と判断された場合,修正期間を通常の60日ではなく30日とします。

特集テーマ:日本語音声の共時的多様性とその手法的展開

 言葉は,時間とともに変化する。変化の要因は多様であるが,共時的に見られる音声的変異は,個人内の揺れや一時的な流行,場面による使い分けの場合もあれば,通時的変化の一部になることもある。前者であれ後者であれ,様々な要因の下での共時的音声変異の詳細を記述し多様性の内実を記録することは,現在の音声実現に対する音声学的説明を提供するだけでなく,過去と未来の研究をつなぐ役割を果たす。事象の観察の積み上げは理論発展の基礎となる。
 これまで日本語音声の変異は主に聴覚的観察に基づいて記述され,知見が蓄積されてきた。一方,近年では音響分析の発展や新しい計測機器の開発などにより,新たな研究方法が普及してきている。すでにこれらの観察手法を変異研究に適用した論考も発表されている。例えば音響分析の手法を用いた母音の音色や閉鎖音の有声性に関する研究は,変異研究に新たな展開を示唆するものと言える。上記は地理的・世代的変異を扱っているが,社会音声学的観点から場面的変異を扱った研究も期待される。また手法としても,変種の音声の調音動態を機器を用いて観察する研究や知覚実験による検証などもあり得るだろう。
 そこで本特集では,音響分析や機器を用いて日本語音声の共時的多様性を観察した論考(論文・研究ノート)を募集する。
 参考までに本特集の対象とするテーマの例を示す。もちろん本特集で募集する論考はこれにとどまらない。
– 地域間・世代間に見られるある音声の差違を音響分析により検討したもの
– ある地域変種に特徴的に見られる音声の調音動態を機器により分析したもの
– 音声詳細の違いをコーパスの分析によって明らかにしたもの
 貴重な論考が集まり,今後の音声研究の基礎になり得る新しい知見を共有できれば幸いである。

掲載:第30巻,J-STAGE公開2026年12月31日(予定)
投稿締切:2026年2月20日
投稿:https://mc.manuscriptcentral.com/jpsj