早稲田大学公開講演会「単一形態素名詞に基づいた苗字のアクセント」

2012年1月13日
日時: 2012年2月4日(土)14:00~16:00
場所: 早稲田大学早稲田キャンパス 22号館2階 202教室
講演者: ティモシー・バンス氏(国立国語研究所教授)
紹介者: 原田哲男(早稲田大学教育・総合科学学術院教授)
紹介: 日本語音声学・音韻論の入門書として有名な『The Sounds of Japanese』(Cambridge University Press, 2008)の著者である Vance氏をお招きし、講演会を開催する。指導や学習に役立つ日本語の音の特徴について等、わかりやすくお話しいただく予定。
要旨: 東京方言のアクセント体系は高低アクセントで、声の高さが比較的高いピッチから急に比較的低いピッチまで下がるのをアクセ ントの核と呼ぶ。内容語のアクセントは、語彙目録において指定されており、名詞の場合は、音節の数を n とすれば、アクセント型の可 能性は n +1 である。有核だとすれば、その核は音節のどれかに位置するが、もう1つの可能性は無核である。しかし、n 音節からなる名 詞の場合でも、可能な n +1 のアクセント型の割合が等しいわけではない。まず第一に、名詞の半分ぐらいは無核 (平板) である。そして 第二に、2モーラ以上の有核名詞の大多数は核の位置がデフォルト (後ろから3番目のモーラを含む音節) になっている。(2モーラしかな い単語は、語頭の音節がデフォルトの位置である。)東京方言のアクセント体系が、将来2型式に変遷すると予言してもこじつけではないで あろう。2型式の体系とは、核の有無だけが弁別的で、核があれば、位置が決まっているという体系を指す。九州の南西部や琉球諸島には 、2型式の体系が今でも多い。苗字は名詞の一種であるが、東京方言では、既に2型式のアクセント体系に従う。有核の苗字は、ほとんど 例外なく核がデフォルトの位置にある。単一形態素名詞に基づいた苗字は、数が少ないが、アクセントに特徴がありそうである。苗字のア クセントが普通名詞のアクセントに一致するケースがある(例の記載省略)しかし、一致しないケースもかなりある(例の記載省略)例か ら推定すると(1) 普通名詞が無核の場合は、苗字も無核。(2) 普通名詞が有核の場合は、苗字も有核で、普通名詞の核の位置にかかわらず 苗字はデフォルトの位置。残念なことに、この規則に当てはまらない苗字もある(例の記載省略)平板型の普通名詞が起伏型の苗字に対応 するケースが特に多い。アンケート調査によって上記の (1) (2) に当てはまる傾向が統計的にあるかどうかを調べてみた。本発表では、 その調査の結果を報告する。
総合司会: 東京音声研究会代表 中川千恵子(早稲田大学)・木下直子(明海大学)
共催: 東京音声研究会
参加費(資料代): 1人500円
使用言語: 日本語
参加対象者: 不問
事前申し込み: 不要
問い合せ先: 東京音声研究会事務局 大山健一(大東文化大学)
Email: tokyo.onsei@gmail.com
URL: http://wiki.livedoor.jp/tokyo_onsei/