公開シンポジウム「N型アクセントの原理と成立」は、神戸大学で開催されます。
東日本大震災の影響により延期されていた日本女子大学・国立国語研究所共催の公開シンポジウム「N型アクセントの原理と成立」は、このたび国立国語研究所主催の企画として、きたる5月21日(土)に、神戸大学で開催されることとなりました。
詳細は以下をご覧下さい。
[公開シンポジウム] N型アクセントの原理と成立
日時:
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2011 年 5 月 21 日 (土) 13:00~17:30
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場所:
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神戸大学文学部C棟 361会議室
(神戸市灘区六甲台町1-1)
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内容
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- N型アクセントとは何か(13:00~13:40)
上野善道(東京大学名誉教授 / 国立国語研究所客員教授)
今回のシンポジウムの導入兼総論として,次の話題を取り上げる。
- 名称「N型アクセント」の読み方,定義,その設定に至った経緯。
- 文節性(付属語連続を取り込んだ文節がアクセント単位になる)を中心とする共時的特性。また,前部要素決定型複合語アクセント規則や活用における系列一貫性と,通時的な「類の統合」との関連。
- 適用範囲がかなり一致する「語声調」(早田輝洋)との異同。
- N型アクセントの成立過程。
- 九州2型アクセントの実態(13:40~14:20)
木部暢子(国立国語研究所 時空間変異研究系 教授)
九州の2型アクセントのうち鹿児島市タイプ、長崎市タイプの2型については、複合語、助詞・助動詞接続形、 動詞活用形をふくめて、アクセントの全体像がかなりあきらかになっているが、それ以外の2型については、 単語アクセント以外、あまり報告がない。本発表では、熊本県天草市本渡方言をとりあげ、動詞活用形、 助詞・助動詞接続形のアクセントについて報告する。
- 鹿児島県甑島方言のアクセント規則(14:20~15:00)
窪薗晴夫(国立国語研究所 理論・構造研究系 教授)
この発表では鹿児島県甑島方言のアクセント規則を、(i)複合名詞のアクセント規則(複合法則)、(ii)外来語アクセント規則、(iii)アルファベット頭文字語のアクセント規則、(iv)文レベルに見られるHigh tone消去規則、以上の4つのアクセント規則に焦点をあてて分析する。(i)-(iii)については東京方言、近畿方言、近隣の二型アクセント体系(鹿児島方言や長崎方言、喜界島方言)との異同を指摘し、(iv)については英語などの強勢言語に見られるリズム規則との異同を論じると同時に、単語・文節レベルと文レベルのプロソディー構造の関係(interaction)を考察する。また時間の余裕があれば、アクセントを超えた現象として下降調の疑問文イントネーション規則を紹介し、近隣方言との比較を行う。
休憩(15:00~15:10)
- 隠岐島3型アクセントの再解釈(15:10~15:50)
松森晶子(日本女子大学教授 / 国立国語研究所客員教授)
隠岐島3型アクセント体系では、従来、「鳥、魚、車…」の型にアクセント移動(文節全体の長さに応じて核が右に移動していく規則)が想定されてきた。本発表ではこの「鳥、魚、車…」は無核型ではないかということ、一方、これまで無核型とされてきた「雨、鼠、兎…」などの型が、実は第1拍目に核を持つ「有核」型ではないか、という提案を行う。今回は、隠岐島の都万(つま)と五箇(ごか)の2つの集落の方言を取り上げて論じたい。
- 福井市周辺部のN型アクセント(15:50~16:30)
新田哲夫(金沢大学教授)
本発表は、福井市周辺部にN型(2型)アクセントがあるのかないのか、あればどんな姿か、を検証するものである。福井県越前町小樟(ここのぎ)のアクセントを取り上げ、部分的にN型的な性質をみせることを述べる。
休憩(16:30~16:40)
- ディスカッション(16:40~17:30)
司会: ローレンス・ウェイン(オークランド大学 / 国立国語研究所プロジェクト共同研究員)
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問い合せ先:
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国立国語研究所 木部暢子
Email: nkibe@ninjal.ac.jp
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